私たちの身近にある軽貨物運送について
通販の利便性の向上や、コロナウイルスによる外出自粛による影響により、宅配サービスをはじめとする軽貨物運送の需要は大きく広がっています。
物販業界大手であるamazonや楽天のサービスの幅も、生鮮食品を扱うことができるほど、迅速な配達が可能となっています。この背景には、これらを運んでいる軽貨物運送の進化があるからこそと言えます。
今回はそんな私たちの身近にあり、生活をより便利にする手助けをしてくれる軽貨物運送について解説していきます。
軽貨物運送はどのような形で始まり現在の形になってきたのでしょうか。
また、これからどのように変化し、私たちの生活をより便利にしてくれるのでしょうか。
この記事を読むと軽貨物運送についての歴史やこれからの軽貨物運送の発展や進化について詳しくなることができます。
ぜひ、最後までお読みください。
日本の軽貨物運送の歴史
日本における現在の軽貨物運送の形を作り出したのは、1976年にヤマト運輸が始めた宅配便サービスです。
それまでに宅配便はなかったのかといえば、なかったわけではありません。
当時、国鉄(現在のJRの前身)による国鉄手小荷物や、郵便局による郵便小包という国営による軽貨物運送は行われていました。
しかしこれらは、サービスとしての質は非常に乱雑なもので、目的地までの到着に多くの日数を必要とし、荷物の扱いが雑なため荷物の破損などは日常茶飯事でした。
当時は競合する企業もなく、運送業者は民間を相手にした軽貨物の輸送など儲からないとして、どの運送会社も宅配便などは行っていませんでした。
当時、ヤマト運輸の社長だった小倉昌夫は、誰も目をつけていない宅配便に目をつけて、宅配便サービスを開始しました。
始まった宅配便のサービスは、電話一本で集荷に行き、翌日配達や明瞭な料金設定などの革新的なシステムにより、大きく発展しました。
高度な運送サービスは、ヤマト運輸のみならず、参入してきた他の運送会社にもモチベーションが受け継がれていき、今の日本における高度な運送サービスが実現しました。
最初の軽貨物輸送が始まって40年以上が過ぎ、現在の形となった軽貨物輸送は私たちの生活に欠かせない重要なインフラとなっています。
軽貨物運送における課題
私たちの生活に必要不可欠なインフラとなっている軽貨物運送ですが、その実情には多くの問題を抱えています。
その問題の一つが、物流業界でよく議題にされる「ラストワンマイル」問題です。
ラストワンマイルとは、運送業者が配達先である顧客に届ける最後の過程のことをいいます。
軽貨物運送において、トラックが家に届けるまでの最後の1マイルが、解決するべき課題を多く残しています。
問題の中には、ドライバーの人手不足、再配達問題、配達に要する時間などが挙げられます。
特に近年では、ECサイトの急速な発展や、当日翌日配送などにより、軽貨物運送は大きく需要を伸ばしていますが、それに対する供給が間に合っていないとされています。
運送業界では、少子高齢化による人員の減少や若手のドライバーの業界参入が減ったことにより、ドライバーの数は減少の一途をたどっています。
このラストワンマイル問題は、日本のみではなく世界中の軽貨物運送業界で起こっており、各国の企業や行政が問題解決のための努力にリソースを注いでいます。
日本では女性ドライバーの業界参入を促すためのイベントや企業案内を積極的に行っており、雇用促進のため、待遇の改善などを行っています。
私たちの生活に欠かせない存在である軽貨物業界は、今後も更なる進化に大きな期待ができるので、ぜひ今後の動きに注目したいですね。
今後活躍が期待される軽貨物運送の進化
軽貨物運送の発展は凄まじく、世界のトップ企業や、国を挙げてのインフラや法整備、開発が進められています。
ここでは今後活躍が期待される軽貨物運送の進化や取り組みについて解説していきます。
未来に向けた軽貨物運送の取り組み
自動運転を利用した運送の自動化
現在日本ではCASEを始めとする自動運転や次世代モビリティによる運転の自動化に対する開発が進められています。
国も推奨する形で自動運転の開発を進めていますが、物流業界にとっても例外ではありません。
物流業界では、ラストワンマイル問題を解決するために、自動運転を利用した配達の自動化を目指す取り組みが行われています。
ヤマト運輸では「ロボネコヤマト」という新サービスによる配達を目指して開発やテストを行っています。
ロボネコヤマトはバンタイプの車の後部座席がロッカーになっており、車に搭載された認証機器にスマートフォンのアプリを認証させることで、荷物を受け取ることができます。
配達時間は10分単位で設定できるため、配達までの時間を待つことなく、スムーズに荷物の受け取りをすることができます。
ロボネコヤマトを利用した配達サービスは、2020年代半ばには実現可能と公表しており、ラストワンマイルにおける人手不足や、再配達による手間の削減をすることが可能になるため、問題解決のための発明として多くの期待を寄せられています。
配達店から配達先までの過程を人の力を使わず、自動運転による配達で完結する未来はそう遠くないのかもしれません。
ドローン、ビークルによる配達
世界的にドローンや無人ビークルによる荷物の配達が注目を集めています。
ドローンや無人ビークルによる軽貨物の配達は、運送業界が抱えている問題である人手不足の他にも、交通渋滞の問題を解決することができます。
実現が可能になれば、ラストワンマイル問題の抱える課題を多く解決でき、人手不足や配達にかかる時間も空輸を使うことで大幅に削減することができます。
空輸における法整備や開発が進み、ドローンによる配達が可能になれば、配達におけるインフラ整備にコストがかからず、陸路に比べて少ないコストで自動配達が可能になります。
楽天では、「そら楽」というドローン物流サービスを開発しています。
2020年の5月から6月の間、ゴルフ場で検証を兼ねたサービスを提供したそら楽は、スマートフォンアプリで、食品や飲料水などをドローンによってゴルフコースを回っている人の近くのビーコンへ届けるテストを行いました。
アプリで注文を受注したゴルフ場は、ドローンに荷物を乗せ、指定した目標の地点へ向けての自動配達をします。
ゴルフ場という限定的な場所でのテストでしたが、法律の規制のない私有地で安全に十分配慮して行われました。1ヶ月にわたるテストは成功を納め、ドローンによる自動配達への期待を高めました。
また、2020年に茨城県つくば市で行われた実験では、スタートアップ企業であるトビルズオンと行政により、700メートル先の目標地点まで食品を運ぶ実験が公開されました。
これは日本で初めて行われた住宅地における配達実験で、700メートル先まで無事に荷物を運ぶことに成功しました。
数々の実験やテストにより、ドローンにおける荷物の配達は実現に向けて進み続けています。
頼んだ荷物がドローンなどのロボットで運ばれるのが一般的になる日も近いかもしれません。
共有のロッカーへの商品配達
軽貨物運送における問題の一つに、再配達問題があります。
軽貨物運送における荷物量の増加により、指定した時間内に荷物を配達することが難しく、都内では配達する予定の荷物の35%が不在により、再配達を行っているというデータがあります。
その再配達問題の解決に向けて生み出されたのが共有のロッカーへの荷物の配達です。
現在、amazonでは既に「amazon Hub ロッカー」というロッカーを全国に展開しており、首都圏から始まり今では地方各地にamazon Hub ロッカーを展開しています。
発注から受け取りまでの流れは至ってシンプルで、amazonで注文した商品の受け取り場所を近くのamazon Hub ロッカーに登録し、配達が完了したらロッカーでバーコードによる認証をして商品を受け取るといった流れで荷物を受け取ることができます。
共有のロッカーを利用するメリットは配達する側のみではなく、受け取る側にもメリットが多く、配達の時間を待たずに荷物を受け取ることができ、受け取る時間を深夜や早朝などの個人の生活のリズムに合わせた荷物の受け取りができるなどのメリットがあります。
配達する側も再配達によるコストをカットすることができ、配達の地点を1つの配達先に集約できるなどのメリットがあり、人手不足や需要の増加による配達の時間不足を解消することができます。
2019年に始まり、現在では全国に向けて拡大しているamazon Hub ロッカーですが、その利便性の高さからロッカーの数が足りないなどの問題も起きています。
設置場所はコンビニや駅など拡大をしており、2020年以降もロッカーの数を順次拡大すると公表しており、今後の活躍がさらに期待されます。
スーパーなどの小売店による商品の配達
新型コロナウイルスにより、スーパーなどの小売店においても、家まで商品の配達を行うサービスが全国的に急速に広まっています。
2020年現在、大手小売店のみならず地方の小売店においてもサービスは拡大しており、小売店でも軽貨物運送での配達の需要は大きく広がっています。
ネットスーパーによる配達商品は、日用品や生鮮食品なども取り扱っており、一度にかかる手数料も400円程度と安価で配達を可能にしています。
コロナウイルスへの感染防止策として注目されていますが、買う側にとってもスーパーなどに足を運ぶ手間を省くことができるため、自由な時間が少ない共働きの家庭にとっても嬉しいサービスとなっています。
スーパーや小売店に足を運んで商品を買わずに、日用品や食品を全て家で購入することが日常的な風景になる日も目前に迫っています。
軽貨物運送の進化によって私たちの生活はどう変わるのか
紹介してきた軽貨物運送の進化や開発を見てみると、私たちの生活をよりよく便利なものにしてくれるのはもちろんですが、これらの進化は運送業界が抱えている多くの問題を解決する糸口として期待されています。
少子高齢化や需要の拡大による運送業界の人手不足、配達にかかる時間などの問題を解消できるため、荷物を運ぶ側にも多くのメリットがあります。
自動配達やドローンの活躍が可能になると、ラストワンマイルに係る人員を削減することができ、効率よく荷物の配達が実現できます。
共有のロッカーへの配達が一般的に普及すれば、荷物の再配達問題や配達に係る時間を削減できます。
配達する側にとっても、配達される側にとっても便利になった軽貨物運送は、私たちの生活をより便利にしてくれます。
配達を待つ時間やスーパーへ買い物へ行く時間を削減すれば、余った時間を自由な時間に変えることができます。
以上のようなメリットがあり、軽貨物運送における進化は私たちの生活をよりよく便利にしてくれると予想されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は軽貨物運送の歴史の紹介とこれからどう変化し、私たちの生活を支えてくれるのかについて解説しました。
まだまだ課題も多い軽貨物業界ですが、解決のためにさまざまな取り組みが行われており、これからの私たちの生活がどのように便利になるかのイメージができたと思います。
この記事を読んで、軽貨物運送に興味を持っていただければ嬉しいです。
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