トラックの歴史とこれからの運送業界はどう進化するのか

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トラックにはどのような歴史があり、どのように開発され、世界に広がり私たちの生活を支えてきたのでしょうか。

この記事では、「世界のトラックの歴史」・「日本のトラックの歴史」を紐解いて、これからのトラックの進化は運送業界にどのような影響をもたらすのかを解説します。
トラックはどのように現在の運送のカタチに出来上がったのか、これからのトラックはどう進化して運送業界に変化をもたらすのかを知ることができます。
ぜひ最後までお読みください!

トラックの歴史

トラック

世界のトラックの歴史

世界で初めて作られたトラックは、1895年にカール・ベンツが設計した「フェニックス」と言われています。
フェニックスには、2馬力から8馬力の様々なエンジンが搭載され、世界初のトラックでありながら人も乗せることができる世界初のタクシーとしても利用されました。
この時代では、トラックという概念はまだ普及しておらず、「馬なし馬車」と呼ばれていました。

1896年には、様々な企業がトラックの開発、発売を行いました。
この時期に発売されたトラックの多くは、1.5トンから2.0トンの積載量を有していました。
乗用車やトラックの開発は、世界中で大きく加速していきます。

1923年には現在使用されているトラックのエンジンであるディーゼルエンジンを搭載したトラックが発売され、大きく歴史を動かしました。
ディーゼルエンジンを搭載したトラックを発表したのは、ダイムラーベンツという会社で、世界中を驚愕させました。
トラックのように重い荷物を運ぶためには、低い回転数で大きなトルクを得る必要がありました。
これらの課題をクリアしたディーゼルエンジンは、商用車やトラックにピッタリ合った性能を持っており、大きな注目を集めました。

この開発を起源に改良を重ね、現在のトラックの形が根付きました。

日本のトラックの歴史

日本で初めて作られたトラックは、1924年(大正13年)に東京石川造船所で試作されたものが起源とされています。
当時の日本では、トラックや乗用車の開発は進んでおらず、外国から取り寄せたトラックを見本に試作されたものでした。
その後、試作や改良を重ね、1932年(昭和7年)には石川島自動車製造所・東京瓦斯電気工業・ダット自動車製造の3社合同でトラックの開発が進められました。

1946年、現在のトラックの原型となるディーゼルエンジンを搭載した5〜6トン積みのトラックが発売されました。
1964年、高速道路の開通により、日本でも貨物の高速輸送が可能になりました。

これに合わせて、日本でもトラックの高速化への開発が進み、高出力のエンジンが搭載されたものがどんどん開発されていきました。
高速道路網は現在も網状化が進んでおり、あらゆる地域に向けた高速の配送を可能にしています。

これからのトラックと未来に向けた取り組み

トラックの未来イメージ

これからのトラックに求められるもの、課題

歴史を経てトラックが開発され、高出力エンジンの搭載が普及し、多くの荷物を高速で運送することが可能になりました。
その反面、近年では温室効果ガスである二酸化炭素などの有害物質の排出が問題となっています。

日本では平成13年より自動車NOx・PM法による規制で、二酸化窒素や浮遊粒子状物質の排出を制限される自動車の開発が必須となりました。
高出力エンジンを載せた高速で走れるトラックの実現と合わせて、環境にも配慮されたトラックの開発が課題とされています。

トラックでも、自動車同様燃費の向上を目的とした「エコトラック」の開発が進んでいます。
エンジンのほか、モーターを利用して動力の補助として使うハイブリッドモデルのトラックの開発もされており、省エネルギー化により環境への負担削減や燃費の改善が行われています。

今後のトラックに起こる進化

運送業界や自動車業界では、環境保護に向けた対策や自動運転が可能になりつつあり、著しい進化が起こっていますが、トラックの進化はどうでしょうか。

ここでは、これから期待されるトラックの進化を考えていきます。

EV化によるエネルギーシフト

自動車においては、電動の自動車が多く開発されています。自動車と比べて出力の多いトラックにおいてもEV化の波は到達しています。

三菱ふそうは2020年現在、EVによる小型トラックeCanterを日本・欧州・米国を中心に約150台を販売し、走行させてきました。
eCanterは、車両総重量7.5トン・最大積載量3トンの量産EVトラックで、CO2や汚染物質を一切発生させない走行が可能な小型トラックです。
環境に優しい電気走行が可能で、約4分の1のランニングコスト削減が実現できます。

現在は世界で150台ほどの実績しかないeCanterですが、今後EV化による環境に優しいトラックの発展は広がっていくでしょう。

外国では、amazonが配送用のEVトラックを10万台発注したことが発表されています。
2021年には初期ロットの納車をし、2022年末までには1万台を納車することを目標としています。
EVトラックによる運送が標準となる世界の実現は目前と言えます。
運送業界としても、世界をリードする物流企業であるamazonの運送がEV化することで、世界的にもトラックのEV化の波は広がることが期待されます。

運転の自動化

乗用車において、運転の自動化は既に運用が可能なところまで進んでいます。トラックも同様に自動運転の試みが始まっています。アメリカでは、一部商用の自動運転利用が進んでいるほか、日本でもトラックの自動走行に関する取り組みが行われています。

国土交通省は、高速道路での自動運転によるトラックの隊列走行を可能とするために、2019年に「高速道路における安全・安心基本計画」を発表しています。
トラックの隊列走行を実現するためには、トラック専用の走行レーンを確保することや自動運転に関する法律の整備などの課題が残っています。
国土交通省は隊列走行による自動運転化について、2025年以降に商業化するという目標を掲げています。
また、隊列走行に必要なインフラ整備への取り組みも発表しており、自動走行への意気込みを強く感じることができます。

トラックの進化により運送はどう変わっていくのか

運送の未来

トラックの進化によって、これからの運送はどのように変わっていくのでしょうか。
現在日本において、トラック業界をはじめとする運送業界では、多くの課題を解決する必要があります。トラックの進化はこれらを解決するための糸口として期待されています。

ここでは、トラックの進化によって解決が期待される運送の課題を解説します。

電動化による環境負担・燃料費のコスト削減

運送業界では、トラック運送による環境負担の低減が大きな課題となっています。
トラックを使用することで、多くの荷物を運送することが可能な反面、多くの燃料を消費する必要があるので、環境への負担が多くなってしまいます。

もし、トラックの動力を電気によるモーター駆動で実現できれば、環境負担を大きく削減することができます。
現在開発されているEVトラックは、小型のものが多く、短距離で小口の運送のものがほとんどです。長距離で大口のものにおいてもモーターとディーゼルエンジンによるハイブリッドトラックが開発されています。
環境の負担を低減できるメリットの他にも、燃料費のコストの低減が見込まれています。

運送業界では、燃料費の変動による利益の上下が激しく、日本での燃料費は運送料金に含まれるため、軽油の価格が上がると利益にも大きく影響されることが課題とされています。
EV化が進むと、燃料は必要なくなり電気で走行が可能になるため、燃料費の課題も解決することができます。

運転の自動化によるドライバー不足の解消

運送業界の抱えている課題の一つに、ドライバーの人手不足があります。
運送業界は、近年需要が大きく伸び、発展しているのですが、少子高齢化による影響を大きく受けていて、ドライバーの人手不足が課題となっています。また、ドライバーの高齢化や若い世代の運送業界の参入も年々減り続けています。

人手不足の解消として期待されているのがトラックの自動運転による運送です。
高速道路における隊列走行やトラック専用の走行レーンの実現により、一般の自動運転に先駆けてトラックにおける自動運転の実現が可能になります。
トラックの隊列走行による自動運転の実装は、人手不足により悩まされている運送業界の解決の糸口として大きな期待が寄せられています。
国土交通省も積極的に取り組んでおり、必要なインフラの整備や自動走行の実現に向けての実験や実証を行なっています。

まとめ

街の中のトラック

いかがでしたでしょうか。今回は以下について解説してきました。

  • トラックにおける世界と日本の歴史
  • これからのトラックにおける運送の課題
  • トラックの進化による運送の変化

次回はトラックの過去の歴史についてもっと掘り下げていきます。
この記事を読んで、トラックがこれまでにどうやって発展してきたのか・これからどのように進化していくのか興味を持っていただけると幸いです。

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